「とち餅」といえば、全国各地のお土産として有名ですね。
最近私が食べたのは、岐阜駅のお土産で、小さく包まれた風呂敷の中に一口サイズのお餅が3つ入ったものでした。
今回はそんな岐阜の名産品である「とち餅」や「とちの実」についてお話ししたいと思います。
では早速始めていきます!
品名 | 岐阜県飛騨地方のとち餅 |
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都道府県 | 岐阜県 |
ジャンル | 和菓子、餅菓子 |
製造者 | 複数社あり |
原材料 | 水飴、もち粉、きな粉(大豆)、とちの実、カラメル色素、乳化剤 |
賞味期限 | 製造日より60日 ※飛騨たからや株式会社のとち餅 |
購入した場所 | 岐阜駅 |
目次
とち餅とは
とち餅(栃餅)とは、その名の通り、とちの実をもち米と混ぜて餅にしたものです。
とちの実が入っているだけあって、もち米だけの餅に比べてやや茶色がかっており、粘りが少ないのが特徴です。
冒頭であげたお土産のように、きな粉をまぶして黒蜜をかけたものや、餡子を巻いたものなどが定番です。
他にも、ネギや醤油で味付けした納豆をかけた「納豆もち」、醤油や砂糖で味付けをした大根おろしをかけた「おろしもち」などにして食されます。
調べていて分かったのは、とちの実の灰汁(あく)抜きは非常に手間がかかるということ。
さらに、経験者でも完璧に灰汁を抜くのは難しく、そのおかげでとち餅には独特の苦みがあります。
買ってきました!実食レポ!
というわけで、岐阜駅にて「飛騨みやげ とち餅 6個入 税込¥648」を発見!
実食するべく購入してきました。
巾着袋風な入れ物がオシャレで良い感じですね。
小さく包まれた風呂敷を開けると、一口サイズのお餅が3つ入っています。
きな粉がまぶしてある上から黒蜜をかけて・・・
いただきます!
口に入れると、黒蜜の上品な甘さと、とち餅特有のほろ苦くて風味豊かな素朴な味が広がります。
見た目は信玄餅に似ているけれど、こちらのほうがちょっと触感があって、なんとなく田舎っぽいというか、素朴な味がして美味しかったです。
とち餅の発祥と産地
では、そのとち餅は主にどういった地方で食されてきたのでしょうか?
とちの実を食用として食べる歴史は古く、遡っては縄文時代の遺跡からも発見されています。
現在のとち餅の産地としては、山形や岐阜、鳥取など。
今でも綺麗な水と豊かな森が残っている地方でのみ、とちの実が食べられ続けています。
これらの地方の特徴は、主に米が取れない山間部にあるということ。
特に、積雪量が多く、米の収穫の少ない中部地方では、とちの実は冬の主食として重宝されました。
稗やドングリなどと共にとちの実が収穫され、冬や飢饉の際の救荒作物として屋根裏などに備蓄されていたようです。
通常、とちの木は高級木材として伐採されるのですが、これらの地方ではとちの木が保護され、私有林であっても勝手に伐採することを禁止されていました。
とち餅と飛騨地方
飛騨・高山地方でもとち餅は重要な冬の保存食でした。
飛騨地方(現在の岐阜県の一部、高山市、飛騨市、下呂市など)では、お餅のことを「あっぽ」と呼び、昔からよく食されてきました。
草餅、豆餅、昆布餅など、たくさんの種類の餅が作られます。
中でもとち餅は、かつて米の収穫が少なかったころ、もち米の節約にとちの実を加えることで、冬の食糧不足を補っていたという歴史があります。
それでも、とちの実を食用にするのは大変な作業で、灰汁抜きを施すのに半月~一か月ほどもかかります。
非常に手間がかかるため、現在では自分で作る人は少なく、代わりにご当地のお土産物として販売されています。
とち餅の製造工程
とち餅を作るためになんといっても大切なのが、とちの実の「灰汁抜き」です。
とちの実は、そのままでは非常に灰汁が強くて、舌に痛みが走るほどに苦いです。
この灰汁を抜くために必要なのが灰汁抜きで、なんと半月~一か月ほどもかかるそうです。
その工程がこちら。
1)まずは山に自生しているとちの実を採取します。足場の悪い沢沿いを歩いて、1つ1つとちの実を拾っていきます。
2)採取したとちの実をよく洗って清流にさらし、中にいる虫を出します。
3)天日で干してからからになるまで乾かします。
4)さらに一週間ほど水にさらします。
5)水から鍋で煮て、固い皮を剥きます。
6)剥いたとちの実を、さらに一週間ほど水にさらします。
7)灰汁に熱湯を加えて、その中にとちの実を混ぜます。
8)そのまま1日以上寝かせます。
9)灰を洗い、薄皮を剥がし、もち米などと一緒に炊いてつけば出来上がりです。
とちの木と実
とち(栃)は、ムクロジ科(トチノキ科ともされる)トチノキ属の落葉広葉樹です。
(ちなみに小学校の国語の教科書などで掲載されている「モチモチの木」に登場するのは、とちの木です。)
ヨーロッパ産の近縁種、セイヨウトチノキはマロニエと呼ばれ、街路樹や、木材に利用されます。
樹齢は300年以上にもなることがあり、長い間実をつけます。
その木になるのがとちの実で、10~11月の秋に収穫できます。
見た目は色の濃い、丸い栗のような形をしています。
しかし、強い灰汁のため灰汁抜きが必要で、西洋では全く食べられていません。
わずかに苦みがありますが、味も栗に似ていて、素朴な味わいがあります。
とちの実の栄養効果
とちの実は、古来より不老長寿の木の実と言われてきました。
中国ではとちの実を乾燥粉末にして服用することで、昔から胃を健康に保つ漢方薬として利用されてきました。
実際、とちの実には灰汁の成分であるサポニンや、ポリフェノールの一種のタンニンなどが多く含まれています。
サポニンは、生で食べると赤血球を破壊する有害物質です。
しかし灰汁抜きをして食べれば、皮膚を清潔に保ち、肌のきめを整える効果があると言われます。
タンニンには活性酸素を抑制する抗酸化作用があり、老化防止の効果があります。
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とち餅は、楽天市場などのインターネットでも手に入れることができます。
興味がある方は、是非お取り寄せしてみてくださいね。
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最後に
いかがでしたか?
土産物として売られている「とち餅」を作るには、非常な苦労があったんですね。
そんなとち餅を生産している飛騨地方は、今でも豊かな自然が残された地方だということが分かりました。
冬といえばやっぱり餅。
作り手の苦労と、土地の歴史に思いを馳せながら、のどを詰まらせないように、ゆっくりと頂きたいですね。