皆さんは佐賀海苔をご存知でしょうか?
佐賀県は海苔の生産量が日本一の大産地であり、また単に生産量が多いだけでなく品質においてもトップクラスの上質さを誇ることで知られています。
その背景には、佐賀県が面する有明海の海の豊かさがあることは意外と知られていないのではないでしょうか。
今回は、そんな佐賀海苔の特徴や歴史についてご紹介いたします。
目次
佐賀海苔の特徴
海苔は、紅藻類のアサクサノリやスサビノリ、緑藻類のアオノリやアオサ、カワノリといった様々な食用に使われる藻類の総称です。
その中でも最も一般的な板海苔に加工されるのは、紅藻類のアサクサノリやスサビノリなどです。
アサクサノリは現在絶滅危惧種となっており、一般に養殖される海苔の大半はスサビノリと言ってよいでしょう。
佐賀県の有明海で養殖される佐賀海苔も、このスサビノリを漉いて紙状に乾燥させることで、板海苔へと加工されます。
佐賀海苔の特徴は、艶のある黒紫色をしていて、火であぶると鮮やかな緑色に変わることです。
香ばしさがあって、口溶けがよく、濃厚な旨みがあることから、最高品質の海苔として高く評価されています。
こうした佐賀海苔の上質さは、養殖海域である有明海の海の豊かさによってもたらされています。
有明海は周囲の多くを陸に囲まれた遠浅の海で、その湾の形状から世界有数の潮の干満差があることが知られています。
更に九州最大の河川である筑後川など、数多くの流入河川があり、これらの河川からもたらされる淡水で塩分濃度が激しく変動する上、大量の堆積物が有明海の広大な干潟を形成しているのです。
河川からもたらされた堆積物にはデトリタス、無機塩類が多く含まれており、有明海の干潟は非常に栄養に富んでいます。
その栄養に満ちた海が、高品質の海苔を成育させるのです。
佐賀海苔の歴史
歴史上において、海苔は奈良時代に編纂された『常陸国風土記』や『出雲国風土記』に記載があり、非常に古い時代から日本の人々に食されていたことが分かっています。
かつての海苔は、海岸で天然に生育したものを採集するだけでしたが、江戸時代に養殖方法が確立されたことで、飛躍的に生産量が増えました。
また、和紙の製紙技術を応用することで、板海苔の製法が編み出されて保存性も高まりました。
その結果、今に至る日本の食文化において、海苔は欠かすことのできない地位を築き上げたのです。
海苔の養殖海域は、波の穏やかな内湾が適しており、その条件を満たした瀬戸内海や有明海で、特に大規模な養殖が行われるようになりました。
とりわけ栄養分豊かな干潟が広がる有明海は、日本一の生産量を誇る大産地として発展しましたが、近年は諫早湾干拓問題に揺れたことに触れないわけにはいきません。
諫早湾の干拓事業が行われたことで、有明海の水質に影響が及んだとされ、海苔の色落ちなどの被害が発生し、有明海の海苔生産は大打撃を受けました。
その結果、沿岸の各漁業協同組合が、干拓地の潮受け堤防の水門撤去を求める運動を起こすなど、大きな問題に発展したのです。
この諫早湾干拓事業を巡る問題は残念ながら、今に至るまで解決には至っていません。
しかしながら、このような状況下でも有明海では海苔養殖事業者は、有明海産海苔のブランドを守ろうと、精力的に海苔の養殖に取り組んでいます。
その努力の結果もあり、佐賀海苔を初めとした、有明海産海苔のブランドは揺ぎなく、今でも贈答品などに選ばれる高級海苔の地位を守っていると言えるでしょう。
食べてみた感想
先日、知人に佐賀海苔をいただきましたので食べてみました!
火であぶってみると・・・
緑色に変わりました!
また、香ばしい香りがして食欲をそそりますね。
シンプルにおにぎり。
海苔鍋も作ってみました。
口にした時の歯切れがよく、口溶けも柔らか。
豊潤な甘みと旨みがあって、香りも最高です。
その上、豊富なビタミンやミネラルを含む栄養満点の食品なのですから、日本人にとって最高のご飯の友とも言うべきものですね。
どこで販売してる?通販は?
佐賀県の海苔の生産量は日本一であることから、佐賀海苔は全国に広く流通しており、主要な百貨店やスーパーマーケットなど、多くの小売店で見つけることができるでしょう。
また、インターネット上の各通販サイトでも容易に佐賀海苔を見つけることができます。
もし佐賀海苔を現地で購入することにこだわるのであれば、佐賀県佐賀市にある佐賀県有明海漁業協同組合の直売所「まえうみ」がお勧めです。
実際に海苔養殖を行っている漁協が運営しているとあって、ここほど身元の確かな佐賀海苔が手に入る場所は他にありません。
また、佐賀海苔だけでなく、ムツゴロウやエツ、スミノエガキなど、有明海特産の珍しく新鮮な魚介類も売られていて、有明海の海の豊かさを実感することができるでしょう。