日本人なら、99の後ろにコンマ以下9の数字いくつ並ぶか分からないほど、誰でも知っている湯豆腐。
でもそんな湯豆腐の中には、「へぇ、こんな湯豆腐があるんだ」と驚くやら感心するやら、という一風変わった、温泉湯豆腐という湯豆腐があります。
はてさて温泉湯豆腐とは、一体どんなものでしょう。
今回は、温泉湯豆腐についてご紹介させていただきます。
目次
温泉湯豆腐とは?
佐賀県嬉野市嬉野町に嬉野温泉という温泉場があり、こちらの温泉は日本三大美肌の湯の一つとして有名です。
美肌になる湯だなんて、女姓が喜ぶこと間違いなし。だから「嬉」野なんでしょうか。いえいえ、そうではありません。
その歴史は古く、古事記や日本書記に登場する神功皇后(じんぐうこうごう)の率いる兵士たちが怪我をこの湯で癒すことができ、皇后が「あな、うれし」と呟いたのが嬉野の地名の由来、と伝わっているぐらいに古い歴史のある温泉です。
江戸時代には、長崎街道という街道筋にある温泉場として栄えた宿場でもありました。
温泉湯豆腐はこの嬉野温泉の名物となっている料理なのです。
温泉湯豆腐が、例えば京都名物の湯豆腐と違っているのは、鍋の中のお豆腐がとろけていることです。
京都の湯豆腐は、湯豆腐の名の通り、お昆布出汁のきいた澄んだお湯な中に、しっかり四角い形のままのお豆腐が泳いでいます。
しかし嬉野の温泉湯豆腐は、お豆腐がお箸で掴めないぐらい柔らかく蕩けて形がないほどです。
だからお汁も融け出してお豆腐で白濁しています。
このとろけたお豆腐のソフトな口当たりと、大豆の香り髙い白いスープが温泉湯豆腐の醍醐味なのです。
温泉湯豆腐の由来
昔から温泉場では温泉の湯を湯治や入浴だけではなく、しばしば料理にも使っていました。
嬉野でも例に漏れずそうだったのですが、お味噌汁の具として入れたお豆腐が柔らかくとけてしまうが当たり前でした。
だから湯豆腐でもやはりお豆腐がとけてしまいます。
宿場町でしたから、こんな少々風変わりなお味噌汁や湯豆腐が、江戸時代には既に旅籠でだされていたそうです。
このとける湯豆腐が、現在、嬉野温泉名物の温泉湯豆腐となったのです。
昔からそうですから、嬉野の人たちにとっては別段不思議でもなんでもなく、逆に外の世界で初めて普通の湯豆腐を食べた嬉野の人が、しっかり四角い形のままの豆腐に驚いたという話が伝わっています。
嬉野温泉の温泉湯豆腐はなぜとける?
どこの温泉のお湯でも必ずお豆腐が蕩けるわけではありません。
嬉野温泉の湯が数少ないそんな湯なのです。
お湯に溶け込んでいる種々の成分が、お豆腐を融かすのにちょうど具合良いバランスで含まれているのだそうです。
その一つが重曹。
重曹は泉質をアルカリ性にして肌がツルツルになり、嬉野温泉が美肌の湯と謂われる所以ですが、このアルカリ性がお豆腐を融かすのだとか。
それだけではなく、お豆腐を固めてしまうマグネシウムやカルシウムの量の加減もあり、ペーハーなどとの微妙なバランスがあるらしいのです。
そんなわけで現在では、温泉湯豆腐のお汁は元々の温泉湯ではなく、温泉湯豆腐が一番美味しくできるように調整された、温泉湯豆腐用調理水が使われています。
温泉湯豆腐の作り方と食べ方
作り方
1.お豆腐を食べごろの大きさに切り、調理水と一緒にお鍋にいれます。ポイントはまだ火を入れないこと。冷たいまま両方をお鍋に入れましょう。普通の湯豆腐のように、先にお汁を温めると美味しくなりません。
2.お豆腐と調理水が入ったお鍋を強火にかけます。
3.お豆腐が融け始めて、調理水が白濁したら弱火にします。
4.お豆腐の角が取れてトロリとなったら食べごろです。野菜など入れるならこのタイミングで投入します。ポン酢やごまダレで食べるのが一般的です。
5.お豆腐が融け出した残りのスープを雑炊にするのは定番ですね。シンプルに塩味もよし、卵を入れても良し。
お勧めなのは、まずは温泉湯豆腐独特のお豆腐だけを味わってから、残りスープに野菜などを入れて二度楽しむ方法。
もちろん野菜や海の幸などいろいろな食材を一緒に味わうのもありです。
食べてみた感想
というわけで、佐賀市内のスーパーにて温泉湯豆腐を発見!
実際に味わってみるべく購入してみました。
今回購入したのは、佐嘉平川屋の温泉とうふと調理水、2つで200円ちょいくらいでした。
まず、調理水と豆腐を鍋に入れ、それから火をつけます。
すると、徐々に白くなってきたので弱火にして・・・
10分ほどで真っ白になりました!
とうふの表面が融けているのがわかりますね。
ポン酢でいただきます!
とうふが、とろけて白濁していく様は見ていて楽しいですね。
さて、お味の方は・・・これは、めっちゃ美味しい!!!
とろっとろの湯豆腐のやさしい味わいと食感が心地よく、ポン酢との相性が最高です!
白濁したスープも、質のいい豆乳のようにまろやかで心も体も温まります。
一通りとうふを食べた後は、玉子とご飯を入れて雑炊にしてみました。
もちろん雑炊も美味しいです!
とうふの濃厚な旨みがギュッと凝縮された感じで、まるでチーズリゾットのよう。
最後の1滴まで夢中で完食してしまいました。
ヘルシーで安上がりでこの美味しさ。素晴らしいですね。
今後私は普通の湯豆腐は食べられません。温泉湯豆腐じゃなきゃイヤです。
いつか必ず、嬉野温泉を訪れ本場で温泉湯豆腐を食べよう、と心に誓いました。


通販で買える?
嬉野温泉に出かけて、地元のお店で本場の温泉湯豆腐を楽しむが常道です。
より美味しい温泉湯豆腐を提供するために、お豆腐を自家製造しているお店もありますし、後のスープで佐賀牛のしゃぶしゃぶが頂けるなど、各店が様々な工夫を凝らしています。
また料理用重曹と市販のお豆腐で、手作り温泉湯豆腐を楽しんでいる人もいます。
シンプルな料理ですから、アレンジ自由度満点で、いろいろなオリジナル温泉湯豆腐を試してみるのも面白いでしょう。
でもお豆腐・調理水・タレのセットを通販で入手できますから、自宅で賞味することももちろんOKです。
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