皆さんはけえらんというお菓子をご存知でしょうか?
けえらんは佐賀県唐津市で作られている和菓子で、その誕生は、安土桃山時代に豊臣秀吉が朝鮮へ出兵した時にまで遡るとても伝統のあるお菓子です。
しかも、長年地元に行かなければ食べられない幻の菓子と言われた和菓子でした。
今回は、そんなけえらんの特徴や発祥についてご紹介いたします。
品名 | けえらん |
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都道府県 | 佐賀県 |
ジャンル | 和菓子、餅菓子、郷土菓子 |
製造者 | 複数社あり |
原材料 | 上新粉、砂糖、小豆練あん ※(有)伊藤けえらん |
消費期限 | 当日中 |
購入した場所 | 唐津市内のスーパー |
お値段 | 5本 380円 |
目次
けえらんの特徴
けえらんは、「けいらん」、「けーらん」とも表記されることがあります。
作り方は、うるち米の米粉を蒸した生地に、餡を巻いただけのとてもシンプルなお菓子です。
餡にはこし餡と粒餡の両方が用いられる場合があり、また生地は通常は白色ですが、ヨモギの葉を練り込んだ緑色のものも存在します。
とても素朴な味わいのけえらんですが、機械で量産されることなく、全て手作業で作られているため、生産量に限りがあります。
けえらんを製造している佐賀県唐津市の和菓子店「伊藤けえらん」では、昔から変わらぬ手法でけえらんを作り続けているため、保存料などの添加物は一切加えられていません。
そのため、素材の旨みを活かした、雑味のないけえらんを味わえる反面、1日しか日持ちしない菓子となってしまいました。
こうした事情から、長年けえらんは地元でしか味わえない幻の菓子と呼ばれていたのです。
しかし、近年では、瞬間冷凍技術を用いることで、冷凍品のけえらんが生み出され、全国へ流通させることが可能となりました。
ただし、冷凍品であっても、保存料が加えられていないことに変わりはなく、解凍後はすぐに食べなければなりません。
そのため、冷凍品のけえらんは、食べる直前に解凍するとよいでしょう。
買ってきました!実食レポ
というわけで、唐津市内のスーパーにて伊藤けえらんの「けえらん 5本 380円」を発見!
幻の菓子とも呼ばれる、歴史ある郷土銘菓を味わってみるべく購入してみました。
スーパーには正午ごろ行ったんですが、けえらんは残り1個でした!
地元でも人気なのでしょうね。
消費期限は当日のみ!
食感は、柔らかくてもっちもち!
こしあんの甘さは控えめで、あっさりとした上品な味わいです。
食べ応えもありますが、飽きずにどんどん食べ進められました。
やはりこのシンプルイズベスト!な美味しさが400年も受け継がれてきた秘訣かもしれませんね、
次は、よもぎ味を食べてみたいと思います。
けえらんの発祥
安土桃山時代、文禄・慶長の役において朝鮮へ出兵した豊臣秀吉は、拠点として現在の佐賀県唐津市に名護屋城を築きました。
そして豊臣秀吉が滞在中、浜崎(現在の佐賀県唐津市浜玉町)にある諏訪神社へ戦勝祈願に訪れた際に、地元民が献上した菓子がけえらんであったと言い伝えられています。
その時、豊臣秀吉は「これを食べたならば勝つまで帰らん」と言い、その「帰らん」という言葉が、菓子の名称である「けえらん」の由来となったのです。
以降けえらんは、この諏訪神社で行われる春祭りの時期にのみ、神社の近辺に出される出店で売られていましたが、次第に人気が高まってこの地区の名物となり、常時販売を行う店舗が現れるようになりました。
ちなみにけえらんの文献上の初出は、慶長8年(1603年)の『日葡辞書』で、「けいらん」と記され、「もち米または硬米の粉を水でこね、中に黒砂糖を含み、金柑ほどに丸めて蒸したもの」とされています。
続いて寛永20年(1643年)の『料理物語』では「汁はうどん同然」と説明されています。
しかし、現在のけえらんには黒砂糖を入れることはなく、金柑状に丸められることもありませんし、汁の具として食する習慣もありません。
今に伝わる形態のけえらんが一体いつ完成したのかは、謎に包まれていると言えるでしょう。
どこで販売されてる?通販は?
けえらんは日持ちがしない和菓子であるため、従来は地元である佐賀県唐津市に行かなければ食べられないお菓子でした。
しかし、瞬間冷凍技術の登場によって、冷凍品のけえらんが製造・販売されるようになり、全国的な流通が可能となったのです。
そのため、伊藤けえらんの通販サイトを通じて全国どこからでも取り寄せることができます。
ただし、生のままのけえらんは依然として地元でしか食することができません。
製造元である伊藤けえらんは、唐津市内に伊藤けえらん本家、伊藤けえらん新家、藤樹庵の3店舗を展開しています。
また、唐津市内のスーパーマケットや商業施設でも、けえらんは販売されています。
最後に
豊臣秀吉の朝鮮出兵にまで遡る伝統ある和菓子けえらん。
消費期限は当日のみ。
冷凍で保存することも可能なようですが、作りたて本来の美味しさはは、未だに地元佐賀県唐津市へ行かなければ食べることができない幻の菓子です。
城下町として発展した唐津市は他にも松露饅頭など、歴史のある和菓子が数多く存在している町です。
また近年は地元名産の甘夏を用いた呼子夢甘夏ゼリーなど意欲的な新作も登場しています。
旅行などで訪れる機会がありましたら、これらの粒揃いの銘菓を味わってみてはいかがでしょうか。