「ごどうふ」って知ってますか?
何も知らない人でも、「多分、お豆腐の一種かな?」ぐらいの答えはできるでしょう。
そう、確かにお豆腐であることは間違いありません。
でもちょっと違うのです。
それでは何が違うのか。そこのところをワクワクしながら探ってみましょう。
目次
ごどうふは佐賀、長崎の郷土食品
「ごどうふ」は佐賀県や長崎県にいにしえより伝わる故郷の食べ物です。
しかしそれは普段の食卓で常に食べられているものではなく、お盆の時期だけに食卓に上がる精進料理として、各家庭で手作りされていた食べ物といいますから、お正月のお餅の様な感じでしょうか。
佐賀県有田市の高島豆腐店のお話では、昔は通常は作っていなかったのですが、お盆前には夜も寝ないで製造しなければならないほど注文が入ったそうです。
このお話も大晦日のお餅屋さんにそっくりです。
このお店では、「ごどうふ」を扱い始めたのは戦後だということですが、数年前にタウン誌に「ごどうふ」が紹介され、さらにテレビ番組で取り上げられたりして有名になったそうです。
そして今では、佐賀県観光情報ポータルサイト「あそぼーさが」や、有田観光協会のサイト「ありたさんぽ」で名物として紹介されている、有田の郷土料理に成長しました。
有田は、酒造会社が好んで求めるほど美味しい水がある所。
豆腐造りには良い水が不可欠ですから、美味しい「ごどうふ」ができるのも当然かもしれませんね。
「ごどうふ」の「ご」とは?
「ごどうふ」を漢字で書くと呉豆腐になります。
この呉を理解するには、一般的なお豆腐の製造について、先ずお勉強しなければなりません。
1.浸漬(しんせき)
御存じの通り、お豆腐の原料は大豆。
この大豆を水につけてふやかします。
2.摩砕(まさい)
水をタップリ吸った大豆を細かく砕きます。
この段階でできたお豆腐の原料を生呉(なまご)といいます。
3.加熱
生呉を加熱します。
そうすると、大豆の成分の大豆タンパクが大量に溶け出てきます。
この状態の原料は煮呉(にご)と呼ばれ、かつてお豆腐が一般家庭で手作りされていた頃には、呉汁(ごじる)ともいわれていました。
4.搾り
呉を搾って、大豆成分を多く含んだ搾り汁を作ります。
これがみなさんご存知の豆乳です。
そして残った搾りかすがオカラになるわけです。
5.凝固
お豆腐に使われるのは、豆乳の方です。
これに凝固剤、つまりニガリを入れると柔らかく固まってお豆腐が完成します。
もうお分かりでしょう。
「ごどうふ」の「ご」とは、搾りをかける前の段階の呉のことなのです。
「ごどうふ」とお豆腐の違い
それでは「ごどうふ」は、一般のお豆腐と何か違うのでしょうか。
搾りで豆乳を得るまでの製造方法は同じなのですが、前述の凝固の方法が違ってきます。
「ごどうふ」は、お豆腐のようににがりを使用しません。そのかわりに、葛や澱粉を混ぜ合わせ加熱して固めていきます。
凝固にニガリを使うか、使わないか、それが「ごどうふ」とお豆腐の決定的な違いです。
「ごどうふ」の由来
同じ呉をつかうのに、なぜ「ごどうふ」がそう呼ばれて、普通のお豆腐にはその名がつかなかったのでしょうか。
実は、その由来には諸説あってよくわかっていません。
一説には、中国から伝わった黄檗宗における中国式精進料理・普茶料理から来たと謂れています。
長崎にある黄檗宗の寺に残る普茶料理のレシピに、葛・澱粉による胡麻豆腐が記されていて、それが起源だとされています。
だから呉の由来は、中国三国志に登場する呉の国発祥だとも言われます。
そして海に囲まれた日本では、ニガリが容易に手に入るので普通のお豆腐が普及しましたが、一部山間部のニガリを入手しにくい地方で、ニガリの代わりに葛や澱粉を使った名残りだともされています。
また同じ九州でも島原地方では、大豆ではなく落花生を原料として使った「ごどうふ」があったり、きな粉や、カボチャ・スイカの種の粉末で作られたものもあるのは、何か関係がありそうです。
食べてみた感想
というわけで、佐賀県の道の駅にてごどうふを発見!
実際に味わってみるべく購入してみました。
今回購入したのは、高島豆腐店の「高島の手造りごどうふ(タレ付))です。
たしか、200円くらいでした。
タレをかけて・・・
いただきます!
お味はの方は・・・美味しい!!
食感はお豆腐より弾力があって、柔らか滑らかなプリンのようです。
タピオカ澱粉も入っていますから、あのタピオカのプリプリ食感からちょっと想像して下さい。
しょうゆ仕立ての甘い特製たれがとってもよく合います!
近所にも売ってたらいいのにな~と思う、また食べたい1品が増えました。


まとめ
ごどうふ(呉豆腐)とは、佐賀県や長崎県の郷土食で、九州の甘口醤油やゴマ醤油をかけて食べるのが一般的です。
お豆腐とはまた違った「ごどうふ」の魅力をお分かり頂けましたか?
特にお豆腐大好きグルメファンにとっては、嬉しい新たな1ページが開くことでしょう。
またスウィーツとしても美味しいその味は、さらにグルメレパートリーを広げてくれそうです。
一般のお豆腐はその控えめな味のお陰で、多種多様なレシピがありますが、その豆腐の一つとして「ごどうふ」も負けない可能性を持っています。
通販でも入手できますし、比較的簡単に手作りもできますから、食べてよし、料理してよしの「ごどうふ」を是非経験してみましょう。