岐阜県の誇る銘菓「柿羊羹」は召し上がったことがありますか?
大垣市の株式会社槌谷(つちや)が製造販売している羊羹ですが、なんと渋柿を一度干し柿にして加工しているのです。
岐阜県はもともと柿の産地として有名です。
特に「堂上蜂屋柿」の渋柿は地元美濃加茂市出身の作家坪内逍遥もこよなく愛したとか。
その渋柿を使った、珍しい柿羊羹の特徴や発祥をご紹介します。
品名 | 槌谷(つちや)の柿羊羹 |
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都道府県 | 岐阜県 |
ジャンル | 和菓子、羊羹 |
製造者 | つちや |
原材料 | 砂糖、麦芽糖、柿(蜂谷柿)、寒天、手亡 |
賞味期限 | 30日 |
購入した場所 | JR岐阜駅 |
お値段 | 柿羊羹 1本竹容器入り155g 1,200円(税込み) すらいす柿羊羹 棹物12枚カット入り 750円(税込み) すらいす柿羊羹 10枚入 1,420円(税込み) |
目次
実食してみた感想!
というわけで、JR岐阜駅にて「つちやの柿羊羹 すらいす柿羊羹 棹物12枚カット入り 」を発見!
実食するべく購入してきました。
左のが包装紙で、剥がすと右側の容器が現れます。
賞味期限は、購入日から1か月半くらいでした。
残念ながら、今回はすらいす柿羊羹のため、竹の容器の品ではありませんでした
最初から切り分けられているので、食べやすくていいですね。
柿羊羹のきれいな琥珀色と、そこに浮かぶ果肉の黒い粒が美味しそうです!
一口食べてみると、程よい柔らかさの食感のあと、口いっぱいにやさしい甘さが広がります。
柿は繊維が多いのですが、それは一切感じない口当たりで、濃厚な甘さと柿の香りに郷愁が誘われます。
抹茶が良く合いそうな上品な味わいも魅力であり特徴の一つですね。
銘菓柿羊羹の発祥は
宝暦5年(1755年)に美濃大垣の城下町で初代園助が創業した「柏屋光章」という屋号の和菓子店。
その後、和菓子の老舗「槌谷(つちや)」に名前を変え、4代目右助が堂上蜂屋柿の濃密な甘味に注目して天保9年(1838年)に創りあげました。
とはいえ、もちろん発想してすぐに「よし出来た!」というような簡単なものではなかったはず。
これだけ技術が進み便利になった現代で、4代目から作り方が伝承されていても、季節によって羊羹の煮詰め具合を調整して加減したり、原料となる干し柿の水分量によっても調整したりと、和菓子職人の卓越した技量が必要なのですから、柿羊羹を初めて世に送り出した先人の苦労は如何ばかりかと。
それを外に見せない姿勢に、つちやの老舗としての矜持を感じますね。
柿羊羹の原材料「堂上蜂屋柿」とは
そもそも堂上蜂屋柿は平安時代から、その極上の甘さゆえ「干柿一個に米一升」とされるほどの特別扱いで、年貢の代わりに納められていました。
文治年間(1185-1189)に美濃の郷士が鎌倉将軍に干し柿を献上、「蜂蜜のように甘かった」ことから柿の名と村名を「蜂屋」とするようにと下賜されました。
時代は下り、戦国武将でありながら茶人でもあった豊臣秀吉が、大垣地方の干し柿を取り寄せて茶会を開いたとか、関が原の合戦を前に兵を率いてきた徳川家康を地元美濃の農民が迎え、大きな柿を献上したところ、家康が「われ戦わずして大柿(大垣)を得たり」との言葉で全軍を鼓舞したとか。
このように歴史上の為政者に献上してきたことから、御殿上(堂上)蜂屋柿と呼ばれるようになりました。
柿羊羹の特徴の一つは味わい
柿羊羹の特徴はなんといっても上品かつ濃厚な味わいにあります。
その甘みは契約農家で丹精込めて作られた堂上蜂屋柿の自然な甘みと、つちやに伝承された製法に由来します。
契約農家で栽培され色づいた堂上蜂屋柿を収穫するのが11月。
皮をむき天日干しをし、10日ほどたってから柿を専用の刷毛で磨くと粉がふいてきます。
これは干し柿特有の甘み成分、果糖が白い粉状になったもので、甘みの強い干し柿の証拠です。
この柿のタネを取り、丁寧にすり潰してジャム状にしたものを原料にします。
いまは冷凍保存ができるので、必要な分だけを解凍して作ることで、1年中柿羊羹が楽しめます。
この干し柿に丹波産糸寒天と麦芽糖を加えて煮込み、練り上げると柿羊羹の出来上がりです。
柿羊羹の特徴のもう一つは包装
包装が特徴ってどういうこと?と思われそうですが、従来の柿羊羹は割り竹に入っているのです。
今はご家庭用や、職場でのお土産用にすでに切ったものも販売されていますが、割り竹には由来があります。
遡ること5代目祐斎の頃。
明治29年(1896年)のある日、親友の坪井伊助が「竹と柿は相性が良いから柿を植えると、竹も育ち、柿も甘味を増す、一挙両得だよ」と離したことをきっかけに、竹を容器として使うことを考えます。
最初は竹筒に柿羊羹を流し込み、竹に彫刻をしたり、漆塗り蒔絵にしたりなど、食べた後でもお客様に喜んで再利用して頂けるものをと趣きあるものにしていました。
しかし、お客様の一人が箸でつついても中味が出ないため、「出て来ぬ羊羹が何になる!」と石に投げつけたところ、竹が真っ二つに割れました。
これ以来、半切の竹容器が定番に。
柿羊羹の琥珀色が、青竹と内側の白さに引き立てられる包装となっています。
柿羊羹は通販で買える?
柿羊羹は楽天などの通信販売で購入することも可能です。
お求めになるのでしたら是非、昔ながらの竹入り1本ままをオススメします。
まとめ
株式会社槌谷の柿羊羹。
今はふるさと納税の返礼品としても使われ、また通信販売でも購入でき、知る人ぞ知る岐阜大垣の名産品となっています。
柿の濃厚な甘みをより感じたければ厚めに。
お抹茶と頂くのなら上品に薄めにと、お好みに合わせて切り分けて召し上がれ。
普通の小豆で作った羊羹とはまた違った柔らかく優しい味に、あなたも魅了されること間違いなしです。