一六タルトは特に西日本ではよく知られた、四国の愛媛県は松山の特産銘菓です。
地元の若い人だったら「あぁ、あのロールケーキでしょ?」と言うかもしれません。
関東の人なら、開けてビックリ。「タルトって品名なのに、どうしてロールケーキなの?!」て思うかもしれません。
一六タルトって本当はどんなお菓子なんでしょうね。
今回は、一六タルトの由来や種類、カロリーや賞味期限、食べた感想についてご紹介させていただきます。
品名 | 一六タルト |
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都道府県 | 愛媛県 |
ジャンル | 和洋折衷のお菓子 |
製造者 | 株式会社一六(一六本舗) |
原材料 | 砂糖(国内製造)、小豆生餡、液全卵、小麦粉、柚子果皮、水あめ/膨張剤、着色料(ビタミンB2)、(一部に卵・小麦を含む) |
賞味期限 | 14日 |
カロリー | 1個当たり96kcal |
購入した場所 | 松山空港 |
お値段 | 3個入421円(税込) |
目次
一六タルトはロールケーキではない!製造方法は?
一六タルトがどんなお菓子なのかを知る為には、その製造方法を見てみるのが一番です。
1.餡を作る
一六タルトに使われているのはクリームではなくアンコ、つまり小豆からできた餡です。
ここでのこだわりは餡の口触りの柔らかさです。
その為にあの小さな小豆の一粒々々の皮を剥いています。
手間をかけた剥き小豆をじっくりコトコトと炊き上げる事で、きめの細かいとても滑らかな餡が出来上がります。
甘さへのこだわりは白双糖というお砂糖です。
シロザラトウと読みますが、ザラメと呼ばれる種類のお砂糖です。
家庭でよく使われるサラサラの上白糖より粒が荒くてザラザラした砂糖で、喫茶店でよく目にするグラニュー糖もザラメの一つ。
白双糖はグラニュー糖より糖の純度の高い最高級品です。
そして一六タルトの隠れた特徴が柚子の香りです。
柚子の生産量は、愛媛県・徳島県・高知県の四国3県で全国の8割近くを占めていて、一六タルトにはこの四国特産の柚子だけしか使われていません。
2.生地を作る
昨今大流行りのロールケーキと同じ様に、一六タルトも薄い生地がクルリとまかれています。
この生地が一六タルトの最重要なポイントです。
一六タルトの生地の原料は卵・砂糖・小麦だけです。
お菓子作りをする人なら?ではないですか。
そうロールケーキの生地に使われるバター・ミルクや油は一切使用されません。
一六タルト独特のあの餡に合うようにする為に西洋の材料は使わないのです。
だから一六タルトはロールケーキではないのです。
材料が単純なだけに、その日の気温・湿度などの気候が直接に生地の仕上がりに影響してしまいます。
その難しい調整をするのが熟練の技を持つ職人さんで、乾燥し過ぎてパサパサにならない様に適度な水分が残る状態に、強い火力で一気に焼き上げます。
そして焼き上がった生地にもう一手間かけるところがミソで、それがあの柔らかくてふっくらシットリの生地を作り上げます。
その一手間が何かはヒ・ミ・ツ。
3.巻き上げる
こだわりの生地にこだわりの餡をタップリと塗り、クルクルと巻き上げるのは熟練した手です。
断面が美しい「の」の字になるにはそれなりの技が必要で、たかが巻き上げ作業、されど・・・です。
最後の仕上げはとても大切。
何故ならお客さんは食べる前に必ず先ず見るからです。
一六タルトは美しくなければなりません。
「の」の字が歪んで、その形が不揃いではダメなのです。
さらに出来上がった一六タルトは一晩お休みします。
寝かせる事によって餡と生地が馴染むのです。
美しさの為には決して手間と時間を惜しまない一六タルトです。
一六タルトがそんじょそこらのロールケーキと違う事がお分かりになったでしょうか。
実際に食べてみた感想
というわけで、松山空港にて「ひと切れ一六タルト 柚子 税込¥129」を発見!
実際に味わってみるべく購入してきました。
賞味期限は、購入日から8日ほどでした。
カステラ生地はしっとりと柔らかく、白と黒のコントラストがはっきりしていてきれいです。
一口いただくと、
餡は柚子の風味が爽やかで優しくて上品な甘さのある、一六タルト独特の餡だと感じます。
柚子のおかげかそれほど甘さを感じないので、甘いものが苦手な人でも美味しく食べれると思いますよ。
今度愛媛に行った際は、違う味も買ってみようと思います。
どうしてタルトなの?
タルトといえば普通は浅い皿状のビスケットの様な堅い生地の上に、フルーツなんかの中身を盛りつけたお菓子です。
でも一六タルトは形としては完全にロールケーキです。
どうしてこんなややこしい事になったのでしょうか。
正確なところは分かっていませんが、一六タルト誕生の歴史を紐解くとぼんやりとその訳が見えて来そうです。
一六タルトの原型を作ったのは、江戸時代の松山藩主・松平定行公だとされています。
松平公は長崎を警護する探題職を兼務していました。
鎖国していた江戸時代、外国との交流は長崎の出島だけに限られていました。
そんな長崎の警護の任に当たっていた公は、ポルトガル人が持ち込んだある南蛮菓子に接しました。
それは正に現代のロールケーキ状のケーキでジャムが挟まれていたといいます。
これを気に入った公は松山でこの菓子を作らせます。
この時代に日本にジャムなどもちろんありませんから、代わりに使ったのが餡でした。
明治以降シモジモにその製造方法が伝わって出来たのが一六タルトの元になったわけです。
さてケーキの事をポルトガル語で"torta"と書きます。
オランダ語では"taart"。
正確にこの当時のそれぞれの言葉でどう発音するのかは分かりませんが、字面を眺めるだけで想像がつきそうです。
松平公 「この菓子は何と言う菓子じゃ。」
ポルトガル人 「〇#×△=◇!」
松平公 「フム、タルトと申すか」
となっても不思議じゃないですね。
一六タルトの種類
一六タルトの基本は淡い柚子風味の餡ですが、その他に抹茶・あまおう苺・しょこらの種類があります。
また愛媛県イメージキャラクターの、みきゃん・ダークみきゃんとコラボした、柑橘風味のみきゃんタルトと、抹茶+チョコ風味のダークミキャンや、最近流行りの節分の恵方巻風・恵方タルトも面白そうです。
ちょっと変わり種で評判になっているのが一六タルトの天ぷら。
「衣サクサク、それから一六タルトの柚子の香り。病みつきです」「一六タルトはちょっと、と言う人もこれなら。塩をふりかけると美味しい」などの口コミ殺到です。
でも販売しているのが、松山自動車道上り線・石鎚山SA、道後本館前店の一六喫茶、松山空港に限られているので要注意です。
カロリーや賞味期限は?
カロリーは、1個当たり96kcal
賞味期限は、製造日から約14日
となっています。
一六タルトは通販で買える?
一六タルトは楽天などの通信販売で購入することも可能です。
在庫状況は変動しますので、下記のバナーから楽天市場での検索結果をチェックしてみてください。
最後に
松山のタルトは一六タルトだけではありません。
一六タルトは一六本舗の商品ですが、同種のタルトを扱っているお店はその他に松山に6軒あります。
栗を始めて入れてモンドセレクション金賞を受賞したタルトや、ゼリー状の伊予柑を使ったタルト、カステラ生地に果物ピールを混ぜ込んだタルトなどそれぞれに工夫した色々なタルトが販売されていて、食べ比べる楽しみ方も絶対アリです。
故郷のお土産として使う人も、道後温泉のお土産にする人も、ただ「はい、お土産」と手渡すだけではなくて、「一六タルトってね・・」とカタってあげるとあなたのお土産の値打ちがグンと上る事うけあいですよ。