晩白柚(ばんぺいゆ)とは、大きくてまん丸なボールの様なルックスの柑橘類です。
原産地はマレー半島で文旦等と同様ザボンの一品種です。
ザボン類の果実は、大きく皮がぶ厚い物が多いですが、晩白柚は特に大型になる品種で通常直径20cm~25cm・重さ1.5㎏~2㎏です。
大きな物だと3㎏程にもなる大変ユニークな果物なのです。
その立派な姿から「柑橘類の王様」とも言われています
品名 | 晩白柚 |
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都道府県 | 熊本県 |
ジャンル | 柑橘類 |
購入した場所 | 熊本県の道の駅 |
旬の時期 | 1月~2月 |
目次
食べ方や味は?実食レポ!
というわけで、晩白柚を実際に味わうべく晩白柚を買ってきました!
さすがは「柑橘類の王様」、貫禄が違いますね...
皮の剥き方ですが、晩白柚は親指では歯が立たない程分厚い皮を持つため、ナイフや包丁を使って切れ目を入れる事できれいに剥けるそうです。
調べた結果、推奨されている方法としては、
① ヘタの有る上部を実のギリギリまでカットする
② 皮の硬い部分に縦方向に放射線状に8か所程切れ込みを入れる
③ 切れ込みに沿って指を入れ皮をむく
④ 中の薄皮と種を取り除く
という順序のようです。
ですが今回は、どーーしても縦に割った断面が見たかったため、上記の工程とは若干違う剥き方になりました事ご了承くださいませ。
まずは、縦に割っちゃいます
この断面図が見たかったんです!予備知識無しに見たら皮の分厚さに驚きますよね
頭の部分を切り落としてから、剥きやすいように包丁で切れ目を入れていきます。
切れ目に沿って剥いていきます。ちなみに、これ、けっこうな力作業です。ちょっと指痛い...
最後に残った白い部分と薄皮を1つずつ丁寧に剥いていき完了!
剥いた晩白柚の実を積んでみると、ちょっとしたタワーができるほどのボリュームです。
ここまで30分ほどかかってしまったので妙な達成感がありますね。
ようやく実食です!肝心のお味の方は、
サクッとした八朔の様な食感で、爽やかな酸味と少しの苦みが口の中に広がり、ほんのりビターな大人テイストな果実でした。
甘いより酸っぱい方が好きって方にはおススメですね。
晩白柚ヒストリー
一番最初に晩白柚を日本に持ち込んだのは「ポンカン博士」「ショウガの父」と呼ばれる、熊本県八代郡東陽村の出身の植物学者・島田弥市氏だと言われています。
時は大正9年(1920年)当時島田氏が台湾総督府に勤務していた頃、ベトナムの船上で食した大きな柑橘類がとても美味しかった為、サイゴンの植物園から苗を分けてもらい台湾に伝わりました。
その後栽培方法が分からなかった為普及が進まず15年程経過した後、昭和5年に島田氏により鹿児島県に持ち込まれ県の果実試験場で試作したところ、熊本県・特に八代市の気候や風土に晩白柚がマッチしていることが分かりました。
晩白柚の名前の由来は?
晩は収穫時期が遅い・熟すのに時間がかかる品種を指す晩性の意味。
白柚は中国・台湾で果肉が白いかんきつ類を白柚(ペイユ)と言っていた事から、それらを合わせ晩白柚と名付けられました。
出荷時期が2月~4月と他の柑橘類より晩生(オクテ・遅い)ので、別名「オクテシロザボン」とも呼ばれています。
気難しく手がかかるんです
晩白柚は太陽の光が大好きですが、果実が大きいので台風の被害に遭いやすいなど、風が苦手なようです。
日光が燦々と降り注ぎ、なおかつ風が穏やかな場所はなかなか無いので栽培出来る土地が限られます。
晩白柚の栽培はとても難しく、自ら受粉する事を苦手としています。
晩白柚以外の柑橘類が近くに無いと受粉出来ないという気難しい果物なのです。
晩白柚の名前が指しているように、他の品種よりも遅い時期に受粉する性質が有るので、受粉時期の時間差を埋める工夫が必要です。
その為、栽培農家さんは八朔等柑橘類の花粉を冷蔵保存し、晩白柚の受粉時期に一つずつ人工授粉・袋掛けを行います。
最近では、晩白柚の栽培は露地ではなく、比較的お天気に左右されないビニールハウス栽培が主になって来たと言われていますが、晩白柚の気難しさは変わらないので同じように手がかかります。
無事に果実が育ち摘果(果実を間引きする事)・収穫・追熟という、出荷するまでに様々な工程を踏んで、栽培農家さんは細心の注意を払いながら晩白柚を生産しています。
ギネス認定!世界一の重さ
晩白柚は果実が大きく育つ事で知られています。
その重さが本物である事が世界記録として残されています。
2005年には栽培農家さんが作出した重さ4858gの晩白柚が認定され、10年後の2015年には熊本県八代高校の高校生たちが作出した重さ4890gの晩白柚がギネスで「柑橘類ザボン区分で世界一」として見事認定されました。
晩白柚の価格、お取り寄せできる?
晩白柚は関東ではなかなかお目にかからない果物ですね。
普段使いの果物と言うよりも、贈答用で使われることが多い印象の高級フルーツです。
時期になると、スーパーでは1玉1000円前後から販売されています。
果物専門店では、大玉の物を箱入りで1個2000円前後で販売しています。
また、最近では、インターネットでも購入できます。
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美味しい季節と食べ頃
晩白柚の旬は1月~2月ですが、市場に出回るのは露地物だと1月~4月頃までです。
近年では、ハウス栽培の物だとお歳暮の贈答用に合わせられるように12月頃から市場に出始めます。
晩白柚は他の柑橘類と同様収穫してすぐに食べると、酸味が残りすぎて食べにくい為酸味抜きをする必要が有ります。
市場に出回ってる晩白柚は、出荷される前にハウス内で寝かせ追熟してありますが、とても日持ちが長い果物なので購入してすぐに食べるよりも、晩白柚の良い香りが漂って来るまで置いた物の方が美味しいです。
食べ頃の目安としては、良い香りが漂い皮表面を指で押してみてへこむ程度の柔らかさが出てきたら美味しくなっているサインです。
保存方法は新聞紙に包んで冷暗所に置いておけば40日程は美味しく食べられます。
常温保存ならば1週間~2週間程大丈夫です。
※晩白柚は元々温暖な気候で育った果物です。あまりにも寒い場所は低温障害を起こしますので注意しましょう。
美味しい晩白柚を見分けるポイント
・形が整っている物
・持ってみてずっしり重量が有るもの
・皮の色つやが良く明るい物
・皮表面の油胞(粒々)が滑らかな物
・ヘタの色が綺麗なグリーンをしている物
これらの条件が揃っている物が美味しい晩白柚です。
ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
晩白柚は一人の植物学者によって日本に伝来した貴重な果物です。
大きな果実なので味も大雑把だと思いきや、爽やかな甘さと酸味ほのかな苦みがバランスの良い繊細で美味しい柑橘類でした。
晩白柚は、産地以外では珍しい果物でなので、実際に見たことないという方も多いでしょう。
柑橘類の王様と呼ばれる、その立派で明るい姿はインパクト抜群で、おめでたい雰囲気も漂います。
玄関・リビングなどに飾っておけば年末年始のお客様との話のタネになりますね。
食べる前にインテリアとして楽しんでみてはいかがでしょうか。