「椎茸? それって、あのシイタケでしょ? もちろん知ってるよ。」という、誰でも知っていて、誰もが食べたことのある椎茸。
それでは「大分しいたけについて教えて!」と問われたらどうでしょう。
意外に深い、しいたけワールドをご案内しましょう。
目次
椎茸大国の大分県!
スーパーマーケットのお野菜コーナーで必ず売られている生椎茸。
また乾物品の棚には干し椎茸がこれまた置かれています。
これら椎茸の国内生産量は大分県がピカイチです。
特に原木干し椎茸の生産量(平成27年)は、全国総生産量約2453tの内、約1115tが大分県産でダントツです。
2位宮崎県464t、3位熊本県202tを大きく引き離しています。
だから大分県は知る人ぞ知る椎茸大国で、大分椎茸は立派な大分県の特産品なのです。
また、単に生産量が多いだけではありません。
昨今、大量に輸入されている、安いだけの海外産などとは一味も二味も違う椎茸だからこその特産品としての大分椎茸です。
天皇家や宮家に献上されたり、大分県椎茸農協賞として大相撲優勝力士に椎茸がぎっしり詰まった優勝カップを授与されるに値する最高品質を、大分椎茸は誇っています。
椎茸の歴史
栽培というぐらいですから、椎茸は松茸の様に自然に生えたものを採取するのではなく、人が手を入れて育てています。
もちろんその技術を発見するまでは、いわゆるキノコ狩りの様に山中で採取していました。
椎茸栽培の歴史は古く、江戸時代初期の頃、約400年ほど前にさかのぼります。
一説には、椎茸栽培の方法を見つけたのは佐伯藩千怒の浦(現在の大分県津久見市)在住の炭焼き爺さんの源兵衛さん。
炭の原料にする切り出した木材に椎茸が生えることから彼は思い付きました。
椎茸の種か何かが飛んで来て生えるのだろうと思った源兵衛さんは、その何か(今ではこれが椎茸菌だと分かっています)が付き易い様に鉈で木に切れ込みを入れてみました。
この栽培方法が上手くいって、以後長い間行われることになった鉈目式栽培なのです。
後に、クヌギの植林を奨励するなどして椎茸栽培を増やす事を政策としました。
しかし、自然界の椎茸菌が付着するのを待つだけのこの栽培では、生産量は不安定で限界がありました。
この人工栽培方法が革新的に進歩したのは昭和に入ってからです。
当時京都大学の学生だった森喜作さん(後に博士)が、椎茸菌を培養した木片を原木に接種する、純粋培養木片種菌法を発見しました。
大分県椎茸農業組合がいち早くこれを導入した事で、大分県の椎茸生産は飛躍的に伸び、現在の大分椎茸の基礎ができたのです。
干し椎茸の旨み!美味しい戻し方!
素焼きした生椎茸にお醤油を垂らしてガブリ。美味しいですよね。
でも、椎茸の本当の旨みは干し椎茸にあるのです。
椎茸の旨み成分であるグアニル酸は、昆布のグルタミン酸、鰹節のイノシン酸と共に三大旨み成分です。
椎茸のグアニル酸は、椎茸の細胞中のリボ核酸に酵素が働いて生成されます。
しかし、生椎茸ではリボ核酸と酵素が細胞膜で隔てられていてグアニル酸は生成されません。
生椎茸を乾燥させると細胞膜が壊れるので、この二つが出会う事でグアニル酸ができあがるのです。
だから、生椎茸より干し椎茸の方が断然旨みは優っているのです。
旨み成分グアニル酸が作られるのは干し椎茸を戻す時で、60~70℃で調理加熱する時に最も増えます。
でも水温20℃前後の水で戻すとグアニル酸とこれを生成する酵素を分解する別の酵素もつくられてしまい、その後に加熱調理しても旨みは増えません。
だから干し椎茸の戻す時は、先ず5℃位の冷水を使います。
密閉容器や袋で、それを冷蔵庫で5~10時間かけて戻すのが美味しい戻し椎茸の作り方です。
因みに、その時にできた戻し汁は旨みの詰まったお出汁になっているから捨てちゃうと勿体ないですよ。
世界農業遺産認定
平成25年、食糧安定供給の為の国際機関・国際連合食糧農業機関(FAO)により、国東半島・宇佐地域が世界農業遺産に認定されました。
これは、次世代に継承すべき伝統的農業のシステムを認定する事で、その保全と継続的利用を図るものです。
この地域では、クヌギの木を原木にして椎茸の原木栽培が行われており、原木を得る為にクヌギ林の伐採と再生が長年繰り返されて来ました。
再生可能な自然環境が椎茸栽培によって維持されているという循環型農林業である事が、この遺産に認定された理由です。
大分県椎茸農協が扱ういわゆる大分椎茸は、この原木栽培で作られた椎茸だけです。
近年、おが屑を菌床にして室内で行われる菌床栽培の椎茸がたくさん出回っています。
菌床栽培だと一年中切れ目なく出荷できるので生椎茸として市場に出せるのに対し、原木栽培は春秋の収穫に限られるので干し椎茸の形でしか流通に乗りません。
しかし原木椎茸は、肉厚で風味や香りが良く、褐色の色艶に優れているのです。
大分椎茸を食べてみた感想!
というわけで、大分県日田市の道の駅にて大分しいたけを発見!
実際に味わってみるべく購入してみました。
このマークがついている品は、大分県産のしいたけを使っていることが保証されているものだそうです。
ちゃんと商標登録されているシンボルマークらしいですよ。
美味しい戻し方もしっかり載っていました。
ちなみに賞味期限は、購入日から10カ月ほどありました。
ちゃんと冷蔵庫に5時間ほど置いて戻しましたよ!
今回は、煮物の具材として使用してみました。
肉厚で歯応えがよく、噛むほどに椎茸の旨味が口いっぱいに広がります。
スーパーで売っている海外産の椎茸と比べると、風味、味、香りすべてが何ランクも上なのが分かります。
あまりしいたけが好きではない子供も「このしいたけは美味しい!」って喜んで食べてました。
美味しいのはもちろんのこと、国内産で安心安全!いい食品ですね!
大分しいたけは通販で買える?
大分しいたけは通信販売で購入することも可能です。
在庫状況は変動しますので、下記のバナーからそれぞれの検索結果をチェックしてみてください。
最後に
日頃何気なく口にしている椎茸ですが、こんなに深い世界を持っているものだったのですね。
椎茸なんかどれでも大して変わらないんじゃないの、と思っていた人もビックリでしょう。
実生活の知恵としては、干し椎茸の戻し方一つで随分美味しさも変わってくるのですから、知らなくてずっと損をしてたと悔やんでいる人もいるのかも。
「これ、天皇皇后両陛下も食されているのですよ。」と一席ぶちながら大分椎茸をお使い物にするのもなかなか洒落ているのではないですか。
大分椎茸、只者ではない様です。